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ダイバージョン

上空3000メートルを飛ぶ機内で
『お客サマの中でお医者様、医療関係の方がいらっしゃいましたらお申し出ください』
というアナウンスを聞いたことがあるでしょうか?出発地を無事定刻で飛び立って
「いよいよ日本に帰れる〜☆」または「いよいよ楽しいバケーションだっ」と安心しても、機内では本当色々なことが起こり、時には想定外の空港に寄り道されたり、運が悪ければそこで一夜を過ごすことになる可能性もあるのです。

出発地を無事飛び立った後、急病人の発生、目的地の天候不良、機体に異変が生じた、なぜか燃料が心細くなっちゃった(←前会社で実際に何度もあったことでした、信じられないことに)、機内で乗客が暴れている・・などなどの理由で、出発地以外の最寄の空港に着陸することをダイバージョンと言います。ちなみに、離陸して同様の問題で出発地に引き返すことはエアーターンバック(ATB)、ゲートを離れ滑走路までの誘導路からゲートに引き返すことはゲートターンバック(GTB)と言います。

結構このダイバージョン、あるんです。
現地を普通に出発して到着は今日はノーマル!(わ〜い)と思っていると、急病人が出たからどこそこに降りて到着が急に未定になってしまった、とか。日本に関係のなく縁がない便(たとえば中国と北米直行便など)が、機体にトラブルが起きて降りてくる、とか。

急病人の場合、搬送作業が済めばすぐ出発体制に入れるのが常なのですが、いつも、ほんとーにいつもお約束のように、病人搬送後、機体に故障箇所が見つかっ た、CrewのDuty Hourが切れる、など別の問題で欠航、あるいは明日までの遅延になってしまうことがあるんです。これは、地上職員としても「かーっ!」となります。私た ちのDuty Hourはどーなるんだ〜っ。こうなると今日はお家に帰ることは期待できなること大。でも、お客サマ第一!眠くても、化粧がはげても、髪がボサボサでも、 足がパンパンでも今晩も尽くさせていただきますーーーー。

先日は、縁のない路線の便が急病人搬送のため成田にダイバートしてきました。あれやこれややっているうちにお決まりのように欠航。その晩は、成田のホテル にお泊りいただいて明日の便に振り替えとなってしまいました。これだけ待たせて欠航なんて、さぞかし機内もHOTだろう・・と、気持ちを奮い立たせ、地上 では臨戦態勢バッチリに待ち受けましたが、意外とお客サマたちはあっさり。次の日も、米搗きバッタのようにぺこぺこ頭を下げる日本人に
「メディカル・エマージェンシーだから仕方ないよ」
「ホテルも綺麗だったし、さぞかし会社はすごいお金を払ったんじゃ?」
「昨日もいたわよね?夕べから働きっぱなし?ちゃんと寝たの?」
と、わが社の懐や睡眠まで心配してくださる。なんなんでしょう、この余裕は。日本を素通りする路線だったので乗客全員外国人でしたが。

反対に日本に向かっている飛行機が海外に降りてしまい、不幸にも現地に一泊するはめになるとそれはそれは大変。現地で言葉も意思も通じずフラストレーショ ン満開で帰国されるお客サマ。不満を一気にまくしたててきますが、私たちにもどこか、ほんとーに心の隅っこに「病人が出たんだから、仕方ないのでは?」と いう気持ちがある・・のは正直確か。成田にやっと着いて、たとえば次の乗り継ぎ便のご案内をしても
「ふざけんじゃないわよ、慰謝料払いなっ」
とくる。こんなケースはほとんどないけれど、必ず一機に一人は訳のわからないことを言い出すお客サマっているものなのです。たいていこういう乗客がいると他のお客サマはおとなしくなる。まさに、他人の振り見て我フリなおせ、状態なのでしょうか。

遅れたことに対してお詫びしお客サマと契約している目的地まで最速(原則:航空機)でお送りするのが航空会社の責務。それ以上の要求はどんなに頑張っても通らないと思っておいたほうがいいかもしれません。少なくとも外資のわが社には。。。

飛行機が離陸しても目的地に着陸するまで安心ができないなんて嫌ですよね〜。でも、頻繁にありますからご用心です(どう用心しろっていうの・・?)

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